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走馬灯のように       由子  その3

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パパちゃん文学の世界へようこそ!

(^_^)


いろいろな方の訪問、ありがとうございます。

気分は、渡辺淳一。。。

(^_^)




由子     その3


「あんた!浮気してるでしょう!知っているのよ!」

浮気?

浮気・・・

浮気。。。

ピンとこなかった。

妻を裏切っている気持ちは、さらさらなかった。

誤解だ。

本気じゃない。
でも、遊びでもない。
なんで怒るんだろう。

なんで妻が怒るのか? よくわからなかった。


・・・
・・・


「浮気じゃないよ。会社の女性と食事しているだけだよ。」

「あんた。それじゃ。女といっしょにいたことを認めるのね!」

「あーー。

 何も悪いことしていないよ。
 どうやって、食事していることわかったの?」

「それは、い・え・ま・せ・ん!
 いっしょにいたことも認めたね。」

「ああ、何も悪いことしていないよ。」

「それを浮気と言うの!」

・・・
・・・

「わかったよ。
もう、あの子と夕食はとらないよ。
家で食べるよ。
もうすぐヒロが帰ってくるだろ。

もう、やめようよ。

怒るなよ。

もう、夕食はあの子ととらないから。。。」

「申し訳ありませんが、あなたには、人をつけます。
しばらく。。。
いいですね。」

「あ、あ。。。何も悪いことしてないよ。」


・・・
・・・

なぜ? 妻が怒るのか?
わからなかった。

雅美がこんなに怒ったのを見るのは、はじめてだった。
まだ、怒っている。

私が雅美を怒ったことは時々あるが、雅美がこんなに怒ったのははじめてかもしれない。

なんで怒るんだ?

いつも無口な雅美だが、まだ怒っている。

浮気か?
浮気じゃないと思う・・・

妻には浮気なのか?

・・・
・・・

やがて

玄関の戸が開いて、ヒロが帰ってきた。

おなかがすいているんだろう。
すぐに夕食を食べた。

何か家の雰囲気が違うと思ったのか?

「どうしたの?」

「何もないよ。お風呂に入って、しばらくしてから、ケーキ食べようか?」

「うん。」


・・・
・・・

ヒロちゃん

・・・

ヒロちゃん

・・・
・・・

いつまでも子供かと思っていたら、今は高校生。

夜寝るときは、パパとママの間。
時々、ゴロゴロ転がってきて、夜中にパパに抱きつくこともある。
抱きついたまま、約30分。
暖かい。。。

赤ちゃんの時とかわらない。。。

そのまま、頭をなでたり、手をつないだり


この子には関係ない。


ヒロちゃん。。。

小さい頃の思い出

・・・
・・・

「パパとママとどっちが好き?」

「パパ」

「ほんと?」

「うん」

「ほんと?ママの方が好きじゃない?」

「んんん。。。パパの方が好き」

「世界でパパが一番好き?」

「うん・・・パパが世界で一番好き!」

・・・
・・・





ヒロちゃん。。。。

いっしょにお風呂に入ったり
公園に行ったり
いっしょにかけっこ
打ちっぱなしで、大喜びで遊んだり
毎週、買い物に行ったり
毎週、レストランに行ったり

・・・
・・・

ヒロちゃん。。。

ヒロちゃんには関係ない。

・・・
・・・


会社に行くと、由子は

「ダンディー、おはよう!」

と、いつものように、ニコニコとあいさつしてくる。

私も

「ゆうちゃん、おはよう。」

といつものようにあいさつした。

由子には家のことは何も話さなかった。
いつものように昼休みにおしゃべりして、何もなかったように数日が過ぎた。


・・・
・・・

家に帰ると、数日後、妻が

私の携帯を調べ、女からメールが来ている。

誰だ!

と、やたらうるさい。

いたずらメールだよ・・・と説明しても、

なんでこんなメールがくるんだ? 
他にも女に手を出しているだろう

とうるさい。

どこかの機関が俺のアドレスを調べて、勝手に送ってくるんだ。と言っても

ふーーーん、どうだか?と怪しまれる。

いくら説明してもダメだった。。。


・・・
・・・

会社では、由子を食事に誘わなくても、特に何も言わない。
連れて行ってくれともいわない。
毎日、昼休みにおしゃべりして、たまには勤務中に、だべっていた。


そして、そのまま、冬休みに入り、正月を迎えた。


でも、雅美はまだ怒っている。
以前よりはましになったが・・・

まだ怒っている。


どうだろう?

こんな険悪な雰囲気が約1か月ほど続いたかな?
少し家に居づらい日々だった。

・・・
・・・

年が明けて、会社の仕事が始まり、数日後、由子が

「ダンディー。。。お食事に行かない?」

と誘ってきた。

どう言おう。。。

なんて言おう。。。

「ダンディー、帰りに行こう。」

「ゆうちゃん、もう行けなくなったんだ。。。。ごめんね。」

・・・
・・・

少し間を置いて

由子は意外なことにあっさりと

「そう」

とだけ言った。

なぜ行けないのか?など聞いて来なかった。


そして、

「じゃーーー。お昼にホテルに行こうよ」

という。


「ゆうちゃん、そんなことできないよ。
ゆうちゃん、
僕はお金持ってないよ。
ゆうちゃんに何もできないよ。
がっかりするよ。」


「んんん。。。
お金なんかいらない。
ダンディーといっしょだったらいい。
ダンディが好きだもん。

ホテル行こう。」


「ダメだよ。ゆうちゃん。
誰にでもそんなこと言うの?
今まで男の人とつきあったことあるの?」


「去年、別れたけど、一度だけあるよ。
でも、ダンディーの方がずっといい。
ねえ。。。行こう。」


「ゆうちゃん。ダメだよ。
お昼休みにお話するだけでいいじゃない。」


由子は黙って、それ以上、何も言わなかった。


・・・
・・・

その後、由子からの社内メールの内容が過激になった。

ホテルに行こう。。。

抱かれたい。。。

ダンディーだけでいい・・・

お金なんかいらない。。。

会いたい。。。会いたい・・・
ダンディーに会いたい。。。

ダンディーが好き。。。


こんな内容のメールがひっきりなしに・・・1週間ぐらい、


社内メールは会社から監視されている。
やがて、由子のメールアドレスが止められた。
由子からメールが来なくなり、淋しかったが、

昼休みは由子と話をした。
由子はメールを止められたことに何も不満は言わなかった。


だが、由子の仕事ぶりがひどくなった。
直接の監督の女性の前田さんがある日、激怒していた。
業者からの伝票の数字入力がでたらめのようだ。

すごい剣幕で

「何!これ!
数字がでたらめじゃない。
これも! これも! これも!
全部でらためじゃない!

何様のつもりか!

なんじゃ!!!」

由子は黙ったままで、赤い顔をして、怒られていた。
どうだろう?
20分?40分?ぐらい
怒られていた。

そして、来月の 2月から、由子は本社の技術管理部門へ異動することになった。
上司は私の友人だ。知り合いだ。

淋しいけど、しょうがないな。
短い間だったけど。
夏の終わりから、2月まで、半年ぐらいかな?

正直、淋しい。

居酒屋で飲んで
公園で熱いキス
やわらかい肌

こんな私を好きになってくれる由子

・・・
・・・


由子が異動する前日

由子から社内メールが来た。
共用端末のメールアドレスを使い、私にメールを送信してきた。

もう、最後だから、ダンディーと会いたい。

会って!

お願い。

明日の午後1時に駅の南口で待っている。

と・・・


最後だし、淋しいので由子に会うことにした。
午後から帰宅した。


雅美は携帯のGPS機能を利用して、私の場所を特定しているかもしれない。
携帯の電源は消した。

そして、約束の時間に駅の南口で、由子を見つけた。

由子は大喜びだ!

とても喜び、私の車に乗り込んだ。
はじめて、コピー機の横で話した時のように大喜びだ。
あの時と同じように
小さな子供がカブトムシを捕まえて、大はしゃぎしているように、由子はおおはしゃぎだ。

目をまるまるとさせて、目を輝かせて
大喜びだ。。。


そして

「ホテルに行こう」

という。。。

私は何も考えることができなかった。

車を走らせたが、ぼんやりとしていた。

どこをどう走ったか?
全然、覚えていない。
意識がもうろうとしていた。

何を考えるでもなく、空き地の隅に車を止めた。
まわりに人はいない。。。

車を止めたまま、気持ちを整理していた。

どうだろう・・・
5分ぐらいか?10分ぐらいか?
理屈で考える?
そんなことできなかった。

どうしよう

これでいいんだろうか?

いや、見つからないよ。
誰もいないよ。

こんなことしていいのか?

大丈夫! わからないよ。

いいのか??

大丈夫だよ!!


・・・
・・・

由子はしばらくすると

「こんなところでするの?」

とつぶやいた。


(続く・・・)






MARTY BALIN - Hearts


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